(Steinwey)ドビュッシー:前奏曲および映像 第1,2集, /アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)
使用楽器はSteinway&Sons
数多のピアニストに大きな影響を与えた録音です。チッコリーニは『わが人生』の中で、前奏曲に対し最高級の賛辞を贈っています。
私はアルトゥーロ・ミケランジェリが、演奏解釈の真実の探求に偉大な貢献をもたらしたことを忘れられません。ドビュッシーの『前奏曲集』での彼の演奏は、音の固まりのコントロールや印象派の見地に関して、ひとつのお手本であり、ミケランジェリが音の世界で成し遂げた仕事は前例がありません。
ピアノ自体の整音も素晴らしい。知り合いのピアニストは「楽器自体の音色が美しすぎて、ちょっと卑怯」とまでおっしゃっていました、笑。
間違いなくこの録音は、ピアノの音響美として試金石として今後も残り続けるでしょう。
「その世界に放り出された」感覚になる演奏
ドビュッシーの録音の賛辞には、「絵画的な演奏」「目の前に浮かぶような演奏」など、印象派らしい言葉がならぶことが多いです。
しかし、ミケランジェリの録音はそのような甘っちょろくはないです。
まさに「その世界に放り出された」感覚になります。
例えば「雪の上の足跡」。音が鳴っているのに無音を感じる。しんしんと降り積もる雪の上。踏み荒らされていない雪を踏みしめる「ぎゅっ、ぎゅっ」という自分の足音。自分の吐息の音。
雪の冷たさを確かめようと手を伸ばしてみても、しかしそこには本当の雪も冷たさも無い。 気付けば自分だけがいる。
ミヒャエル・エンデの『モモ』の中に不思議な池の水面に、美しい花が咲いては枯れる一節があります。
これほどうつくしい花があろうかと、モモには思えました。これこそすべての花の中の花、唯一無比の奇跡の花です。 けれどこの花もまたさかりをすぎ、くらい水底に散って沈んでゆくのを見て、モモは声をあげて泣きたい思いでした。
ミケランジェリの録音を聴くと、モモがいたたまれない気持ちになったような、捕まえられない美しさに胸をしめつけられます。
「録音」なので何回でも聴くことができると頭ではわかっていても、過ぎ去る時間を惜しんでしまいます。
音楽が無音を、そして、聴覚以外の五感にまで影響を与えることを体験させてくれた貴重な録音。
私は、この録音を聴いて調律師になろうと決心しました。
(Grotrian)月影の寺に弾く/イェルク・デームス(p)
使用楽器はGrotrian-Steinweg
Grotrianを使用した録音はほとんどなく、貴重な録音です。
Semi Concert Grand Model 225を使用しておりますが、全くセミコンサートということを感じさせません。フルコンサートグランドのようです。
地鳴りのような低音、バターのように甘く香る中高音。重厚なフォルテと甘いピアニッシモが共存する、ピアノの整音の完成系だと思います。
以前、大人になりピアノを弾かなくなって久しい方にこの録音をお貸ししたら、「何て美しいんだ」と感銘し、またピアノを練習し始めました。
思わず惹きつけられる、そして、知らずしてのめり込んでしまうほどの美しさがあります。
もしかすると、「よいピアノの音」というと、冴え冴えとした爽やかでクールな音色のものと思われているかもしれません。 よくあるスタインウェイのようなちょっと乾いた音で、それぞれの音の粒立ちがよく、カキーンと跳ね返ってくるような音。
それを期待してこの録音を手に取ると、全ての予想を外されることになります。 どちらかというと「グシャ」とつぶれたような音で、全体的に今まで耳にしたようなクリアな音ではありません。しかし、その「圧」とでもいうようなパワーがすごい。抜けやクリアさではなく、音全体、ピアノ全体、ホール全体に充満する強力な「力」を感じます。 それはもはやピアノという単体の楽器の音色ではなくオーケストラの響き。
全盛期のデームス氏の演奏
デームス氏はオーストリアドイツ語に従って音楽を奏でているとのことで(本人からそう聞きました)、独特のクセがあります。若かりし頃は「デームス節」など揶揄されて、批判の対象にもなりました。しかし、年を取るとともにバランスがとれてきたのか、作品の本来のすばらしさを教えてくれるようになりました。特に、2000年以降の録音は必聴です。
フランクの「前奏曲・フーガと変奏曲」は間違いなくこの曲のベストの録音であり、歌の中に祈りと救済を感じることができます。
シューマンの「予言の鳥」「トロイメライ」「詩人は語る」では詩を感じない方はいないのではないでしょうか。この録音を聴いた後では、他のシューマンは全くつまらなく聞こえてしまいます。
ドビュッシーの「沈める寺」では地鳴りのようなフォルテッシモを披露してくれる。「月の光」は大人の響き。
デームス氏を知らない若い方でも、この録音だけはぜひ一度手に取って欲しい。
安全安心の歯磨き粉えらび
健康のために食品添加物を摂取しないように気を付けている方でも、歯磨き粉から添加物などを摂取してしまっては意味がありません。
そこで、全身の健康の観点から、添加物が入っていないおすすめの歯磨き粉を紹介します!(あくまで、個人的な意見です)
大学では物理学ぶで物性を研究していたこともあり、成分にこだわって選び抜きました!
含めたくない成分
- ラウリル硫酸Na:体内で分解されない合成界面活性剤。体内で分解される石けん素地はOK。
- 固い研磨剤:シリカ、アルミナは歯を削るのでNG。炭酸Ca、水酸化アルミニウムなどはOK。
- サッカリンNa、カラギーナン:人工甘味料ならキシリトールでいいじゃん。
- 防腐剤:入れるのはしょうがないが、できるだけ無害のものを。
取り入れたい成分
- フッ素化合物:再石灰化を促す。さらにフッ素化合物が取り込まれると、エナメル質がより強固になる。
- (薬用)ハイドロキシアパタイト:歯と骨の主成分。リンとカルシウム。再石灰化を促す。安全性が高く、配合量の上限の規制などがない。
個人的には、大人がフッ素化合物を使用する分には全然OK。それよりも、一緒に含まれるそれ以外の成分のほうが気になる。
平日は研磨剤フリー
オーラルピース
飲み込んだ場合は腸管内でアミノ酸として速やかに消化・分解され安全である殺菌成分(「おから」についていた乳酸菌がつくるペプチド「ネオナイシン-e」)が使われています。すばらしい!
虫歯菌、歯周病菌に有効です。
【全成分】
(保湿剤)グリセリン、水
(清掃助剤、製品保存性能補助)乳酸球菌培養エキス(「ネオナイシン-e®︎」)
(増粘剤)キサンタンガム
(「ネオナイシン-e®︎」助剤、清掃助剤、製品保存性能補助)ウメ果実エキス
(増粘剤)カエサルピニアスピノサガム
(香味剤)オレンジ油、レモン果皮油、ユズ果皮油
(製品保存性能補助、香味剤)セイヨウハッカ油
(「ネオナイシン-e®︎」助剤、製品保存性能補助、香味剤)ダマスクバラ花油
オーラルケア ホームジェル
数ある国内の歯磨き粉の中でフッ素だけが入っているのはこの商品くらい。濃度は970ppm。6歳以上から使用できる。
【全成分】
(薬効成分)フッ化第一スズ
(基材)濃グリセリン・水
(粘度調整剤)カルボキシビニルポリマー
(防腐剤)パラベン
(甘味料)キシリトール
(溶剤)プロピレングリコール
(pH調整剤)水酸化ナトリウム
(着香剤)香料
週末は研磨剤入りで着色予防
石鹸歯磨き御三家は、「パックスナチュロン」、「シャボン玉石けん」、「ファミリーハミガキ」。
シリカが入っていないのはファミリーハミガキのみ。カラギーナンが入っていないのはシャボン玉石鹸のみ。パックスナチュロンは両方入っています。
M-mark 薄荷(はっか)のせっけん歯みがき
松山油脂は、シア脂入りハンドクリーム・リップクリーム、セラミド入りの乳液など、本当に体をいたわるような製品ばかりで好きなブランドです。
シリカもカラギーナンも入っていない石けん素地はみがき粉を選ぶとこちらになります。
【全成分】
(研磨剤)炭酸Ca
(溶剤)水
(湿潤剤)グリセリン
(洗浄剤)カリ石ケン素地
(香味剤)ハッカ油
(香味剤)スペアミント油
(矯味剤)カンゾウ根エキス
(矯味剤)チャ葉エキス
(甘味剤)キシリトール
(エキス溶剤)BG
(酸化防止剤)トコフェロール
(キレート剤)グルコン酸Na
(粘結剤)キサンタンガム
ピドケア
ホームジェルに研磨剤が入っているような処方です。炭酸カルシウムは歯よりも十分柔らかいし、飲み込んでも大丈夫だし、理想の歯磨き粉かも。
【全成分】
(薬効成分)フッ化第一スズ
(研磨剤)軽質炭酸カルシウム
(甘味料)キシリトール
(溶剤)プロピレングリコール
(粘度調整剤)カルボキシビニルポリマー
(pH調整剤)水酸化ナトリウム
(防腐剤)パラベン
(基材)濃グリセリン
(香味剤)ストロベリーキャンディー、ペパーミントオイル、ラッカイン酸
寝る前は洗口液
ピュアバイオアパタイト
歯磨き粉というより歯磨き粉の原料です(笑)。私はセリア(100均)の150mlの調味料入れに移し替えて使っています。
パウダーは、防腐剤など他の無駄な成分が入っていないのが素晴らしい!
Amazonで25g 1,400円。ちょっと、お高めに感じますが25gは相当な量です。
以前、Amazonのベスコスランキング1位になっていたものの原料。
「だったら100%でいいじゃん」と最終的には原料にたどり着きました(笑)。
結構粒径が大きい(~1um)ので、歯磨き粉としての使用は歯が削れる可能性があります。
そのため、アパタイト補給用に水に溶かして洗口液として使っています。
その他の成分的におすすめな製品
アパガードソフト(ジェルタイプ)
フッ素と着色を気にするならコンクールジェルコートではなくこちらがおすすめ。機能的には以下のルシェロホワイトとコンクルージェルコートのいいとこどり。最強。
- 発泡剤不使用(=アパガード リナメルよりもおすすめ)
- 汚れ対策として、薬用ハイドロキシアパタイトとポリエチレングリコール400配合
- 薬用ハイドロキシアパタイトが再石灰化を促す
- 殺菌成分は塩化セチルピリジニウム
コンクールジェルコート
研磨剤が入っていなくとも、汚れが付かないような工夫がある。ただし、塩酸クロルヘキシジンは優秀な殺菌剤だが、着色するというデメリットもある。
- 汚れを浮かすアルカリ成分として炭酸水素ナトリウム(重曹)
- 汚れ対策として、ポリエチレングリコール400、ポリリン酸ナトリウム配合
- フッ化ナトリウム(950ppm)で再石灰化を促す
- 殺菌成分は塩酸クロルヘキシジン
ルシェロホワイト
殺菌成分は余分だ!と思う人にお勧め。
- 汚れを浮かすようにアルカリ性(リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム配合)
- 汚れ対策としてポリエチレングリコール400配合
- 研磨剤は歯より柔らかい炭酸Caで汚れだけを落とす。しかも粒径を小さくし歯へのダメージをさらに減らす。
- フッ化化合物はモノフルオロリン酸ナトリウム(950ppm)。一番体内に取り込まれにくいとされている。
これ以上に何を望む!?最高性能イヤフォンfinal A8000の紹介
以前、finalのBシリーズを取り上げました(こちら)。キャラクターがはっきりしているシリーズで、聴く音楽によって適切に選択すれば最高のパフォーマンスを発揮するとのレビューをし、どんな音源が得意かの方針をUPしました。
逆を言えば、Bシリーズにはそれぞれに苦手な音源がある、つまり、弱点があるともとらえることができます。
finalのフラグシップイヤホン A8000に死角はあるのか?そんな思いで、レビューしました。
final A8000 サマリー
やっぱりフラグシップはすごかった!すべての性能が最高レベルのイヤホンでした。
- 低音から高音まで隙がなく、どんな音楽でも再生可能
- 音像が手前にあり音との間には何もベールが存在ない
- 圧倒的な解像度
少なく見積もっても20年は付き合える存在。約20万円だとしても1年で1万円分の価値は十分にあります。
聴感上の性能にこれ以上に何を望みますか?
レビュー環境
今回は、PCからUSB-DACで出力しレビューしました。以下、環境を紹介します。
再生音源:
- ピアノ(スタンウェイ):クラウディオ・アラウ(pf) ショパン「ノクターン第13番」
- ピアノ(ベーゼンドルファー 1923年製):パウル・バドゥラ=スコダ(pf)
ドビュッシー「沈める寺」シューベルト ピアノソナタ D. 960 - ピアノ(ベヒシュタイン):ホルヘ・ボレット リスト「エステ荘の噴水」
- ピアノ(グロトリアン):イェルク・デームス ドビュッシー「沈める寺」
- ピアノ(シュタイングレーバー):シプリツァン・カツァリス バッハ「ピアノ協奏曲イ長調 BWV1055」
- ヴァイオリン:ギドン・クレーメル バッハ「パルティータ第3番 前奏曲」
- ヴァイオリン:古澤巌 マスネ「タイスの瞑想曲」
- 女性ヴォーカル:キャスリーン・バトル ヘンデル「オンブラマイフ」
- 男性ヴォーカル:フレッチョ・タリアヴィーニ プッチーニ《トスカ》「星は光りぬ」
- オーケストラ:セルジウ・チェリビダッケ ブルックナー「交響曲第9番」
- 女性ヴォーカル(Jazz):STACEY KENT RICHARD RODGERS “Shall we dance?”
- 男性ヴォーカル(Jazz):Mel Torme “All God’s Chillun Got Rhythm”
- フュージョン:Marcus Miller ”Power”
上から高音、中音、低音をカバーしているセットにしているのはBシリーズの時と同様です。ベーゼンドルファーの録音だけ、録音の粗が目立ってしまったのでシューベルトのピアノソナタに変更しました。それほど、解像度がすさまじいイヤホンということです。
Jazz・フュージョン
再生機器に求めること
Jazzでは、演奏者の流れを他の演奏者がどう受け止めるのか、音と音の合間にどんな音を入れるのかなど「プレイヤーの掛け合い」が醍醐味です。つまり、ベース(低音)、歌(中音)、ピアノ(高音)のどれが弱くても音楽にならないので、再生機器にはすべての音域で高い性能が求められます。
さらにドラムはバス(低音)とシンバル(高音)を再生することはもちろんですが、奥まったと感じがすると興ざめなので、音像が前にある特性の再生機器が求められます。
A8000レビュー
A8000はすべての楽器・歌を「そのまま」再現してくれます。低音は太く、高音は質感まで細かなニュアンスを伝えてくれます。Jazzの魅力を惜しみなく伝えてくれるイヤホン。逆を言うならば、「A8000以外で聴くJazzは、何か違うものを聴いているのかもしれない」そんな気にさせてくれるほど素晴らしい再生能力です。
抜群の低音~高音までのバランスに加え、その解像度は耳を疑いたくなるほどです。David Newtonのピアノソロでは、今まであまり意識していなかった細かい音(アクセントの前の音)にまで光が当たります。「こうやってリズムに推進力を出してゆくんだ」と感動しました!
Marcus Millerのエレキベースも、低音が「ズドン」と来る。そして、その低音に弦楽器の倍音の高音成分がちゃんと乗ってくる。「エレべも弦楽器何だな」と再認識するに至りました。どういうことかというと、例えばfinal B1のような低音が得意なイヤホンで聴くと、エレキベースの「エレキ」の部分が強調されたのに対し、A8000は低音だけでなく高音も再生能力が高いため「ベース」としての発音機構(弦、弦をはじく手など)まで感じることができたということです。
オーケストラ
再生機器に求めること
クラシック音楽は、ピアニシモからフォルテシモまで使用して表現するので、ダイナミックレンジが広いことが必要です。一つのメロディが一つの山となるような細かなアーティキュレーションがわかるような表現力、さらに、メロディと副旋律がどう絡みあっているかを味わうことも醍醐味ですので、再生機器には低音・中音・高音をすべて鳴らし切る必要があります。
A8000レビュー
今回聴いた中で最もドキドキしました。チェリビダッケの音楽はすべての音に意味を持たせ、絶妙のバランスで成り立っています。A8000は、解像度が高く、低音・中音・高音を鳴らし切る。最高の相性ではないでしょうか?カナル型のイヤホンということもあり、ホールの客席というよりはもっとオーケストラに近い位置、例えば指揮者の位置で音楽を聴いているようです。「チェリビダッケが聴いていた音は、まさに、このような音だったのではないか」そんなことを考えてしまいます。
器楽曲(ピアノ・ヴァイオリン)
再生機器に求めること
ピアノの音域は人間の可聴範囲をほぼすべてカバーします。低音をしっかり鳴らすということも重要ですが、弦振動の倍音が音色をつくるということもあり、再生機器は高音の再生能力はさらに重要だと思います。
A8000レビュー
調律師は自分の聴いた音を頼りに実際の音作りを行いますので、信頼できるオーディオが必須です。A8000は、そんな調律師の「学びの要」といえる再生機器として、うってつけの存在だと思います。
A8000ならば、音源に使用されているピアノの倍音の特徴を聴くことにより、使われているピアノのメーカーや調整の状態も十分に判別可能です。そのくらい、高音の再生能力が高いです。低音に関しても、「深い」スタインウェイ、「分厚い」ベーゼンドルファー、「太い」グロトリアンのように、各メーカーの特徴が如実にわかります。
すべての再生能力は極めて高いということは間違いありません。そこは否定するつもりはありませんが、好みが分かれるところがあるとすれば、解像度が高すぎるというところかもしれません。美しいベヒシュタインの音色が気品ある「香り」や「色彩」として感じられる、濃厚で甘いグロトリアン音色が「バターのような濃厚さ」に感じられるという「感覚」が、すべて「正確に再生された倍音関係」という「情報」になってしまうように感じます。
これはスピーカーを聴いた後にヘッドフォンを聴いた時の感覚に似ています。多分、スピーカーからある程度離れたところに音が届くまでに音が良い感じに混じるのでしょう。解像度は落ちる反面、音質としての滑らかさが出てくる。カナル型イヤホンで耳にダイレクトに音を届けることのメリット・デメリットは、このあたりにあるかもしれません。「モニター用としては最高だが、観賞用としては好みではない」という人がいても不思議ではありません。
味付けをしないということ
ピアノやヴァイオリンは箱モノですので、その共振周波数で「箱鳴り」します。ピアノの音を「コォーン」としたら、「ォー」の部分の響きです。一方で、再生装置をいくらうまく設計しても、特有の共振周波数の箱鳴りは少なからず存在します。つまり、メディアを通して再生された音には録音された箱鳴りと再生時に発生してしまった箱鳴りがあります。ピアノの共振周波数=スピーカーの共振周波数ならば何も問題ないのですが、一致することはまずあり得ません。結局、録音からホンモノの音を取り出すことは不可能です。とはいえ、よかれ悪かれこれらのようなことを、我々はスピーカーの「持ち味」のように感じているのだと思います。
A8000の解像力は多分カナル型イヤホンという超小型の発音機構の特徴なのでしょう。物理的に箱が無い分、箱鳴りのような「味付け」は一切ありません(あっても内部の容量が小さい分、中音域ではなく高音域と想像します)。それゆえ中音域がすっきりとし、倍音が倍音として正確に聴こえてきます。ピアノの録音は、グランドピアノの屋根を開けて頭を突っ込んで聴いているくらいの臨場感があります(多分、そのようにマイクを録音しているのでしょう)。
スピーカーやヘッドフォンに慣れ親しんだ耳にとっては、この「味付け」がないことが「味気ない」になってしまう可能性があります。オーディオは何も味付けせず、録音の方でホールトーンなどを含めるという方向性が正しいと思いますが、録音によっては美しいポートレート写真ではなくレントゲン写真を見ているような分析的な感覚に陥る可能性があり、それが好みではないという方々が一定層いるのではないかと思います。
ご購入の決断で最も注意すべきところは、このあたりではないかと思います。
娘が受け口なので矯正歯科を受診
娘は反対咬合、いわゆる受け口です。受け口の発生頻度は2%。それほど多い症例ではありません。しかし、本日、小さい子供も診ることができる矯正歯科医のところに行って来たら、有益なアドバイスを頂きましたのでブログに残しておきます。
娘の受け口具合
下のイメージのように前歯2本がねじれて生えてきてしまったので、下の歯に当たってしまい奥歯をかむことができないため、下あごを前にずらして咀嚼しているようです。
これは、受け口の方でも軽度の方のようです。ただ、奥歯をかみしめる際には、顎をかなり前に出すので、上の前歯6本すべてが内側に入ってしまう位置で噛んでます。
放っておくとどうなるのか
受け口の場合、前歯には前から後ろに力がかかるので上あごの成長は阻害され、下あごの成長は促進してしまいます。つまり、受け口は自然に治るどころか成長とともに悪化する一方のようです。
娘なので、審美的な心配もありますが、受け口は栄養の吸収効率も悪くなります。通常、奥歯では食べ物をすりつぶすような横の動きもするのですが、受け口は下あごを横に動かせないため、縦の動きのみになります。この場合、食べ物はすりつぶされるのではなく、単につぶされるだけになります。口でよく細かくならないため、栄養の吸収効率が下がります。
いつから矯正治療を始めるか
一般的に小児矯正は乳歯の生え変わりの時期である年齢である5,6歳から始めるようです。それ以前に始めても、生え変わりの時期にまた戻ってしまったり、小さい子供にとっては負担となると考える先生も多いです。「できるだけ早く始めたほうがよい」とはいえ、生え変わりを待つとお考えの先生も多いと思います。
しかし、よく調べてみると現在は乳幼児期からの矯正(通常3歳~)もあります。娘は現在2歳2か月。少し早いけれど、連絡したら快く診ていただけました(「3歳になるまで来るな」なんて言われませんでした)。
2歳2か月の娘へのアドバイス
行ってメチャメチャよかった。ネットで調べてもなかなか知りえないことを教えてくれて、これからどうしていくべきかの道筋を教えてくれました。さすがはその道のプロ。
娘の一番奥の乳歯(前から5番目、第2乳臼歯)はまだ生えてきていないとのことでした。娘の受け口は軽度の部類でしたので、第2乳臼歯が生えそろう間に自然に受け口が治る可能性があるようです。なかなかこの情報は見つけにくい(例えばここ)。第2乳臼歯が起因の治癒似に関して、統計的に「何%の反対咬合が自然治癒した」というデータは見つけられませんでした。一方、受け口と確定した子供が生え変わりのタイミングで自然治癒する割合は約5~6%。ほぼ、治癒しないもんだと思ったほうが良いでしょう。
そのような事情もあって、今回は第2乳臼歯が生えそろうまで経過観察。乳歯が生えそろってもなお受け口の場合、治療を進めることを検討することになりました。このような背景があって「通常3歳~」となっているのでしょうが、理由もわからず「様子見て」なんて言われても、不安になってしまうのが親ってもんです。今日は丁寧に説明いただいたので、胸のつかえがとれました。
乳幼児期の歯列矯正方法
基本はマウスピース型の装置を使うようです。大人の歯列矯正のようにワイヤーブラケットで歯を動かすのではなく、お口周りやベロの筋肉のバランスをとって正しい成長を促す装置です(口腔筋機能訓練装置)。
代表的なものは、以下の4つかと思います。
いくつかのWebサイトを見ましたが、精密検査料+治療費で7~15万円が相場のようです。乳幼児矯正とはいえ、なかなかですね(娘よ、自然治癒してくれ)。
これらの装置で90%の反対咬合は治るみたいです。
乳幼児期の歯列矯正は受けるべきか
生え変わりの時期で戻る可能性があるのに、果たして矯正する価値があるのか?という疑問が残りますが、個人的にはやるべきだと思います。理由は2つあります。
1つ目の理由は、戻ったとしてもほったらかしにしておいた場合よりは軽度の受け口で済むからです。受け口は自然治癒しにくいうえ、一度なってしまったら上あごの成長が阻害され、下あごの成長が促進されるという特性があります。できるだけ早い段階で、通常の成長に軌道修正してあげることで、最悪のケースを避けられる可能性があります(例えば大人になって顎の骨を切る外科的矯正が、歯列を並べるだけで済むかもしれなくなります)
2つ目の理由は、骨格的な問題です。歯列がそろうことと、顎の成長は完全に切り離すことはできませんが、少しレイヤーが異なる問題だと思います。かみ合わせとしてはよいが、審美的には下あごが大きい、みたいなことにもなりかねません。なので、骨格の成長を促すことはしてあげたい。
口腔機能を向上する方法
様子見とは言え、口腔機能を向上してゆくことは良い歯並びを作るうえでもよいことです。逆に良くないことは「お口ぽかん」。本来はベロは上あごに常にふれているのが正しい位置です。これにより、上あごは内側から押すことで成長が促進されるのですが、お口ぽかんはベロが常に下にあるため上あごには内側から押される力が働きません(=受け口になりやすい)。
口腔機能を向上する体操として有名なのがあいうべ体操。上唇の締め付けが強かったのか(これも受け口の特徴です)、娘は普段の生活で上の歯が見える機会が少なかったように思いますが、あいうべ体操を始めてから上の歯も見えるようになり笑顔がより自然になった気がします。
妻が神経質で笛などは「不衛生だ!」といってやらせていなかったのですが、吹き戻し・ピロピロ笛、ふきあげバスケット、風船などの遊び道具も口輪筋を鍛えるのに有効だそうです。
あとは、カミカミ食材。根菜類、キノコ類、イカ・タコ、貝類、リンゴ・パイナップルなどの果物、こんにゃく、油揚げ、干しいも、ドライフルーツなど噛み応えのある食材を、あえて少し大きめに切ることにより自分の力でかみちぎるように促してゆきます。
生まれた時からの口腔機能トレーニング
Bean Stalkの咀嚼型ニプル
娘はピジョンの哺乳瓶を使っていたのですが、顎の発達には母乳を飲むときと同じような動きをさせるBean Stalkの咀嚼型ニプルが良いようです。歯医者でも進めているとところがあります(例えばここ)。ピジョンの哺乳瓶と互換性があるようですので(参考)、仮に第二子が生まれたらニプルだけ取り替えようかと思います。
BLW
BLWはBaby-Led Weaningの略で「赤ちゃんに乳離れを任せる」みたいな意味です。2002年ころにイギリスの保健婦によって考案され、赤ちゃんが主導となり自分で食べたいものを決めるという離乳食の手法です。
野菜やお肉、果物などの固形物を用意して、赤ちゃんが自分で食べたいものを選び、手づかみで口へと運びます。赤ちゃんの食への興味を自然に促し、特に両親は介入しません。初めから固形物を与えることで、咀嚼力を向上させてゆくらしいです。最近まとまった本が出ているで、読んでみようかと思います(BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう!)、「自分で食べる! 」が食べる力を育てる:赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門)