ピアノ調律師、執筆中

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娘が受け口なので矯正歯科を受診

娘は反対咬合、いわゆる受け口です。受け口の発生頻度は2%。それほど多い症例ではありません。しかし、本日、小さい子供も診ることができる矯正歯科医のところに行って来たら、有益なアドバイスを頂きましたのでブログに残しておきます。

娘の受け口具合

下のイメージのように前歯2本がねじれて生えてきてしまったので、下の歯に当たってしまい奥歯をかむことができないため、下あごを前にずらして咀嚼しているようです。

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上あごの歯並び(イメージ)

これは、受け口の方でも軽度の方のようです。ただ、奥歯をかみしめる際には、顎をかなり前に出すので、上の前歯6本すべてが内側に入ってしまう位置で噛んでます。

放っておくとどうなるのか

受け口の場合、前歯には前から後ろに力がかかるので上あごの成長は阻害され、下あごの成長は促進してしまいます。つまり、受け口は自然に治るどころか成長とともに悪化する一方のようです。

娘なので、審美的な心配もありますが、受け口は栄養の吸収効率も悪くなります。通常、奥歯では食べ物をすりつぶすような横の動きもするのですが、受け口は下あごを横に動かせないため、縦の動きのみになります。この場合、食べ物はすりつぶされるのではなく、単につぶされるだけになります。口でよく細かくならないため、栄養の吸収効率が下がります。

いつから矯正治療を始めるか

一般的に小児矯正は乳歯の生え変わりの時期である年齢である5,6歳から始めるようです。それ以前に始めても、生え変わりの時期にまた戻ってしまったり、小さい子供にとっては負担となると考える先生も多いです。「できるだけ早く始めたほうがよい」とはいえ、生え変わりを待つとお考えの先生も多いと思います。

しかし、よく調べてみると現在は乳幼児期からの矯正(通常3歳~)もあります。娘は現在2歳2か月。少し早いけれど、連絡したら快く診ていただけました(「3歳になるまで来るな」なんて言われませんでした)。

2歳2か月の娘へのアドバイス

行ってメチャメチャよかった。ネットで調べてもなかなか知りえないことを教えてくれて、これからどうしていくべきかの道筋を教えてくれました。さすがはその道のプロ。

娘の一番奥の乳歯(前から5番目、第2乳臼歯)はまだ生えてきていないとのことでした。娘の受け口は軽度の部類でしたので、第2乳臼歯が生えそろう間に自然に受け口が治る可能性があるようです。なかなかこの情報は見つけにくい(例えばここ)。第2乳臼歯が起因の治癒似に関して、統計的に「何%の反対咬合が自然治癒した」というデータは見つけられませんでした。一方、受け口と確定した子供が生え変わりのタイミングで自然治癒する割合は約5~6%。ほぼ、治癒しないもんだと思ったほうが良いでしょう。

そのような事情もあって、今回は第2乳臼歯が生えそろうまで経過観察。乳歯が生えそろってもなお受け口の場合、治療を進めることを検討することになりました。このような背景があって「通常3歳~」となっているのでしょうが、理由もわからず「様子見て」なんて言われても、不安になってしまうのが親ってもんです。今日は丁寧に説明いただいたので、胸のつかえがとれました。

乳幼児期の歯列矯正方法

基本はマウスピース型の装置を使うようです。大人の歯列矯正のようにワイヤーブラケットで歯を動かすのではなく、お口周りやベロの筋肉のバランスをとって正しい成長を促す装置です(口腔筋機能訓練装置)。

代表的なものは、以下の4つかと思います。

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ムーシールド
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パナシールド
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プレオルソ
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T4K

いくつかのWebサイトを見ましたが、精密検査料+治療費で7~15万円が相場のようです。乳幼児矯正とはいえ、なかなかですね(娘よ、自然治癒してくれ)。

これらの装置で90%の反対咬合は治るみたいです。

乳幼児期の歯列矯正は受けるべきか

生え変わりの時期で戻る可能性があるのに、果たして矯正する価値があるのか?という疑問が残りますが、個人的にはやるべきだと思います。理由は2つあります。

1つ目の理由は、戻ったとしてもほったらかしにしておいた場合よりは軽度の受け口で済むからです。受け口は自然治癒しにくいうえ、一度なってしまったら上あごの成長が阻害され、下あごの成長が促進されるという特性があります。できるだけ早い段階で、通常の成長に軌道修正してあげることで、最悪のケースを避けられる可能性があります(例えば大人になって顎の骨を切る外科的矯正が、歯列を並べるだけで済むかもしれなくなります)

2つ目の理由は、骨格的な問題です。歯列がそろうことと、顎の成長は完全に切り離すことはできませんが、少しレイヤーが異なる問題だと思います。かみ合わせとしてはよいが、審美的には下あごが大きい、みたいなことにもなりかねません。なので、骨格の成長を促すことはしてあげたい。

口腔機能を向上する方法

様子見とは言え、口腔機能を向上してゆくことは良い歯並びを作るうえでもよいことです。逆に良くないことは「お口ぽかん」。本来はベロは上あごに常にふれているのが正しい位置です。これにより、上あごは内側から押すことで成長が促進されるのですが、お口ぽかんはベロが常に下にあるため上あごには内側から押される力が働きません(=受け口になりやすい)。

口腔機能を向上する体操として有名なのがあいうべ体操。上唇の締め付けが強かったのか(これも受け口の特徴です)、娘は普段の生活で上の歯が見える機会が少なかったように思いますが、あいうべ体操を始めてから上の歯も見えるようになり笑顔がより自然になった気がします。

妻が神経質で笛などは「不衛生だ!」といってやらせていなかったのですが、吹き戻し・ピロピロ笛、ふきあげバスケット、風船などの遊び道具も口輪筋を鍛えるのに有効だそうです。

あとは、カミカミ食材。根菜類、キノコ類、イカ・タコ、貝類、リンゴ・パイナップルなどの果物、こんにゃく、油揚げ、干しいも、ドライフルーツなど噛み応えのある食材を、あえて少し大きめに切ることにより自分の力でかみちぎるように促してゆきます。

生まれた時からの口腔機能トレーニン

Bean Stalkの咀嚼型ニプル

娘はピジョンの哺乳瓶を使っていたのですが、顎の発達には母乳を飲むときと同じような動きをさせるBean Stalkの咀嚼型ニプルが良いようです。歯医者でも進めているとところがあります(例えばここ)。ピジョンの哺乳瓶と互換性があるようですので(参考)、仮に第二子が生まれたらニプルだけ取り替えようかと思います。

BLW

BLWはBaby-Led Weaningの略で「赤ちゃんに乳離れを任せる」みたいな意味です。2002年ころにイギリスの保健婦によって考案され、赤ちゃんが主導となり自分で食べたいものを決めるという離乳食の手法です。

野菜やお肉、果物などの固形物を用意して、赤ちゃんが自分で食べたいものを選び、手づかみで口へと運びます。赤ちゃんの食への興味を自然に促し、特に両親は介入しません。初めから固形物を与えることで、咀嚼力を向上させてゆくらしいです。最近まとまった本が出ているで、読んでみようかと思います(BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう!)、「自分で食べる! 」が食べる力を育てる:赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門